鈴虫寺②
石段で待っていると、後ろから「すみません」と声をかけられました。
傘から滴る雨が、女性の顔にかかってしまっていることに、全く気が付きませんでした。
振り返って初めて気付いたのですが、その女性は傘を持っておらず、ずっと雨の中、わたしたちの後ろで待っておられたのです。
身なりからも、少々支援が必要な方とお見受けしたこともありましたが、どういう事情であれ人としてこのまま黙っておくことが忍びなく、お声かけしました。
「よろしければ、入られませんか」
女性は「助かります、助かります」と何度もお礼を言われました。
深くは伺いませんでしたが、地元京都の方で、鈴虫寺には何度か足を運んでおられるとのこと。
雨の中のご縁。
まさに「一期一会」です。
続きます。